愛好家たちの声
#13
河野 仁
アピオ代表
スズキジムニー専用パーツを独自に企画・設計・製品化している老舗メーカー「アピオ株式会社」の代表を務める。デザイナーのバックボーンを持ち、クルマはもちろんバイク、カメラ、万年筆、鞄など、様々なアイテムに造詣が深い。日々の出来事を毎日欠かさず記した小さな絵日記にも河野さんのセンスと個性が発揮されている。自らが掲げたアピオのコンセプト「日常を旅する」を体現するクリエーター経営者だ。
「腕時計というとまず思い出すのは、小学校高学年の時に小遣いをためて買ったカシオのデジタル。確かF100というモデルでした。腕時計って大人の持ち物というイメージで、憧れでした。」と懐かしいエピソードを披露してくれたのは、スズキ・ジムニー専用パーツを数多くリリース、全国のファンにその名を知られたアピオの代表、河野仁さん。クルマやバイク、カメラ、万年筆、様々なカテゴリーに造詣が深い河野さんだが、時計趣味にはまったのはここ数年なのだという。
「社会人になって、いい時計が欲しくなりセイコーのアウトドアウォッチを手に入れました。その後に購入したタグホイヤーが初めての高価な時計で、アピオに入ってラリー競技に関わるようになると、周囲の影響でカシオのプロトレックを愛用するようになりました。」
という河野さん。根っからのメカ好きで、
デザイナーのバックボーンをもつゆえ、
身につけられる工業製品である腕時計は
常に気になる存在であった。
しかしコレクターなどではなくあくまで
道具として付き合っていた。
という河野さん。根っからのメカ好きで、デザイナーのバックボーンをもつゆえ、
身につけられる工業製品である腕時計は常に気になる存在であった。
しかしコレクターなどではなくあくまで道具として付き合っていた。
「5~6年前に自動車関連の業界組織『ロータス』に加入、そこで複数の時計好きに出会い、ちょうど50歳になるし、記念にパネライのルミノールを購入しました。」
イタリアの文化が好きで、プライベートで
アルファロメオ(ジュリア・クアドリフォリオ)
を愛車とする河野さんらしい選択だ。
そこから深淵なる腕時計の世界に
魅了されていくのだった。
イタリアの文化が好きで、プライベートでアルファロメオ(ジュリア・クアドリ
フォリオ)を愛車とする河野さんらしい選択だ。
そこから深淵なる腕時計の世界に魅了されていくのだった。
昔から文具好きで、ある時期からは万年筆趣味に
傾倒、優に200本を超えるコレクションを
お持ちだという河野さん。
その没入具合いにメディアも注目、
文具関連雑誌に万年筆愛あふれる連載記事を
寄稿するようになる。
昔から文具好きで、ある時期からは万年筆趣味に傾倒、優に200本を超える
コレクションをお持ちだという河野さん。
その没入具合いにメディアも注目、文具関連雑誌に万年筆愛あふれる連載記事を
寄稿するようになる。
「そこから生まれたご縁で、スーツに似合うモンブランのドレスウォッチを入手。さらにモンブランの傘下であるミネルバのムーブメントを採用しているラリータイマーに一目惚れ。クルマにも装着できるラリー用というストーリーに魅了されて高価ではありましたが手に入れました。そんなご縁からモンブラン・ジャパンに声をかけていただき、スイスのジュネーブで開催される時計の展示会“SIHH”に招いていただきました。」
現地ではモンブランの社長やデザイナーを
はじめ世界中の時計好きとの交友が
生まれたという。
現地ではモンブランの社長やデザイナーをはじめ世界中の時計好きとの
交友が生まれたという。
シンプルで機能美溢れるデザインが
好きだという河野さん。
装飾的なものに興味を惹かれることは
なかったという。
シンプルで機能美溢れるデザインが好きだという河野さん。
装飾的なものに興味を惹かれることはなかったという。
「だからカルティエのサントスという時計を勧められた時、文字盤がローマ数字だというだけで好きになれなかった。ところが歴史を紐解くとそれが世界初の男性用リストウォッチであり、パイロットウォッチだったというではありませんか。」
それを知って価値観が変わり、サントスは今、
河野さんにとって大切な一本になっている。
エベラールもイタリアを代表する時計ブランド。
20世紀初頭に活躍したイタリア人レーシング
ドライバー、タツィオ・ヌヴォラーリの名を
冠したモデルを含め、2本を所有する。
それを知って価値観が変わり、サントスは今、河野さんにとって大切な一本に
なっている。
エベラールもイタリアを代表する時計ブランド。
20世紀初頭に活躍したイタリア人レーシングドライバー、タツィオ・ヌヴォラーリの
名を冠したモデルを含め、2本を所有する。
「それぞれのブランドに物語がある。時計をするという行為は、そのブランドが育んできた歴史も身につけることなのだと思います。」
と河野さんは言う。
モノ選びに並々ならぬこだをりをもつ
河野さんだが、モノは道具として使ってこそ、
というのが信条。それは腕時計とて同じ。
使っていれば汚れるし、傷もつく。
だがキレイにはしていたい。
モノ選びに並々ならぬこだをりをもつ河野さんだが、モノは道具として使ってこそ、
というのが信条。それは腕時計とて同じ。使っていれば汚れるし、傷もつく。
だがキレイにはしていたい。
「シュアラスターの固形ワックスを使うときに香るカルナバの香りがたまらなく好きでした。そのシュアラスターが腕時計用のケミカル『ピュリファイタイム』を作ったと聞いて、ぜひ使ってみたいと思っていました。大切なものを手入れする行為が好きですね。手間がかかるものほど楽しいと思ってしまう。」
そう言いながら使い心地と仕上がりに
満足そうな笑顔を浮かべた。
そう言いながら使い心地と仕上がりに満足そうな笑顔を浮かべた。
腕時計とは時を刻む道具であると同時に、いろいろな人との出会いを生んでくれるものだと、河野さんは言う。「アピオのコンセプトとして『日常を旅する』というキーワードを掲げているのですが、まさに時計は旅に誘ってくれるプロダクトだと思います。このインタビューのタイトル『時は旅なり』っていかがですか!」