愛好家たちの声
#02
篠田 哲生
ライター
1975年千葉県生まれ。
嗜好品ライター。時計専門誌からファッション/ライフスタイル誌、モノ情報誌など、幅広い媒体で時計企画を中心に担当。近著に「教養としての腕時計選び」(光文社新書)がある。
自身を嗜好品ライターと名乗り、時計のみならずインテリアも海外展示会での取材を重ねる篠田哲生さん。趣味の幅が広い分、オタク気質は少ない方という自己分析をしており、数々の愛用品も必要に迫られないと手入れをしないという大らかな一面もあるという。そんな篠田さんが、時計のケアについては習慣化するのか、ピュリファイタイムを試していただきました。
実は僕、こういう商品を待っていたんですよ。昨年くらいから時計クリーナーを販売する会社が出始めて早速試したりしていたんですが、こういうものがあるんだ!と気づかされたところがありまして。
お恥ずかしながら、あまりできないタイプです(笑)。時計はもちろん、洋服もインテリアも革小物も好きなんですが、いかんせんオタク気質がないんです。だから、手入れも必要に迫られればするけど、それこそ毎日使った後にしようという気にならない…。ただ、僕みたいなタイプはそれをやるためのグッズがあればやる気になったりするもので(笑)。時計のケアのための王道的な良い製品があれば、とりあえずそこまでひっくるめて時計を着ける所作だ、という解釈ができるんです。
この時計は登場回数も多く、スポーティにガシガシ使っているので今回の企画におあつらえ向きかなと。ちょっと拭いただけでもクロスに汚れがつくのが驚きですが、かなり汚れていたんだなと気づかされますね。特にこれが、毎日着けるようなステンレスの時計だと汚れ方がすごそうな気がします。僕はこの時計を毎日着けるわけではないですが、こんなに汚れているので(笑)、特にステンレスブレスレットの時計を毎日着ける場合はこまめにケアした方が良さそうですね。
今までの時計ケアの王道的解説だと、先が尖った綿棒でブレスレットの隙間や時計本体の溝部分にたまった汚れをとる、みたいなことくらいしか普段できることってなかったんですよ。でも、ピュリファイタイムみたいなアイテムがあるとグッと手入れがしやすくなる気がします。それと、年齢を重ねてからこっちのジャケ・ドローのようなドレッシーな時計をする機会も増えてきまして。こういう時計は大人にこそ似合うだけに、キレイな状態を保てていないと途端にみすぼらしくなってしまう可能性がある。僕なら、そういう時計のケアにピュリファイタイムを使いたいですね。
そうなんですよ。靴であれば、ここ10年くらいで急速に磨いてケアをする文化が根付いたのに。シューシャインマスターと呼ばれる人たちも出てきましたが、時計にもそういう存在がいても良いですよね。それと、これまで時計のケアは購入したお店にまかせるもので、サービス的な側面があった。でも靴のように、自分の時計に合ったクリーナーを選んで夜に磨く、なんて趣味に進化しても良いと思っています。装身具としての時計に愛着が湧き、その価値を再認識できるのではないでしょうか?
はい、絶対その方が良いです。一時期、雑誌の特集でスナップ企画を担当していたことがあるのですが、中には一部パーツの取れた時計とかサビなどが付着した時計を着けている人もいらして。どんなに着こなしがよくても、それだとせっかくの良い時計が偽物のように見えるんですよ。こだわりをもってモノを選ぶ人は、その世界観が好きで手にとっているはずなので、時計を磨くまでの行為を好きになってもらって、改めて相棒の形とかデザインとかを確かめて欲しい。そうやって時計と対話する時間が、より良い時計体験を生んでくれると思います。